suzunonehari
症例報告、歯の奥のほうのズキズキ。
更新日:2020年8月19日
右歯の奥のほうがズキズキするという患者さん。
歯科医院に行っても「虫歯なし、異常なし」と言われました、だけど痛い。
違う歯科医院に行ったら、被せ物の下に虫歯があるかもとなり、現在被せ物を一旦剥がしての治療中とのこと、それでも痛い。
どれくらい痛いのかというと、眉間のシワが4、5本になるくらい痛がっています。
最近よく刺す咬筋を緩める鍼もするにしても、うーむ。
まずは脈診、いつも通りの瘀血の感じ。
そして、体表観察。
足の大衝(たいしょう)というツボに左右差がありました。
右足の大衝だけ、ふっくらとむくんでいます。
大衝は気や血の流れと関係するところ。
歯が痛いのも右だし、ここに鍼を刺せば流れがよくなるかな、と頭の中で考えつつ・・・
大衝は肝経のツボなので、その表裏の関係の胆経はどうかなとチェック。
そうしましたら、軽く触るだけでどこも痛がる痛がる。
特に痛がられたところが、絶骨(ぜっこつ)というツボ。
あ、そうだそうだ絶骨は髄会(ずいえ)だ!
と頭の中でポン!と手を鳴らした私。
東洋医学でいう「髄」は骨の奥にあって、骨格を滋養するもの。
髄が不足すると、金属を溶かすような激しい痛みがでる、とあります。
骨髄、脊髄、そして歯の奥にも歯髄というのがあります。
そして「髄会」というのは、髄の気が集まるところ。
それが絶骨という足にあるツボです。
ちなみに「◯会」という◯の気が集まるとされているツボは8個ありまして。
その名も八会穴(はちえけつ)と言います。
気会→気が集まるツボ、膻中(だんちゅう)といって左右の胸の間にあります。
そのほかに血会、脈会、骨会などがあります。
国家試験によくでます。「血会は以下の四つのうちどれか?」みたいな。

さてさて、患者さんの治療の話に戻りまして・・・
右の大衝、右の絶骨などに鍼をしてから、少し経つと患者さんが
「歯の奥が痛くなってきました」
むむ?痛くなってきた?、それは効いてきたとのことと続けます。
しばらくすると「痛みが治ってきました」と。
眉間のシワもなくなって、穏やかな表情になりました。
帰られる際は、「もう痛くありません」とにっこり。
この患者さんは、家でも時々お灸をするかたなので、右の大衝、右の絶骨に印をつけて、しばらくすると痛みがぶり返すかも、そうしましたらお灸をしてくださいとご案内。
2日後に近所を歩いていたら、この患者さんがいらっしゃったので予後を聞いてみました。
痛みは落ち着いているとのことで、よかったです。
患者さんへの体表観察、左右差や違和感を察することの大切さ。
改めて実感した治療となりました。
よこやま